「介護サービス評価」活用事例① 社会福祉法人 心の会(横須賀市)

■評価の最大の効果は、職員の意識変化

 

■評価で視点が変わり、意識が変わる

在宅福祉センター さくらの里

介護保険の導入と同時に事業をスタート。

現在、デイサービス、ホームヘルプ、ケアマネジメント、配食サービスなどの事業を展開。

今春より、特養施設を新規にオープン。

 

 

 

 社会福祉法人 心の会 常務理事

 在宅福祉センター さくらの里

 センター長若山三千彦 様

 

■利用者の本音を聴きたい、それが利用開始理由 

振興会の利用者評価を10年来実施している(途中、情報公表制度が始まった時期に1~2年ほど中断した)。

評価を導入した一番大きな理由は、ときどき自前で実施するアンケートとは異なり、

利害関係にある事業所には言いづらいことを言ってもらえる(本音を言ってもらえる)と思ったから。

 

特に、送迎とデイサービスについて以下の問題意識があった。

送迎ついてニーズに応えられいないのでは? (担当者一人が事業所の外で実施しているサービスなので、目に見えない部分)
デイサービスについては、施設の中で退屈していないか?
 

 

■評価結果は職員全員で話し合い、情報共有

 デイサービスについては、まずは常勤のスタッフ5~6名で会議を開き、評価結果を共有しながら話し合う。

非常勤職員(週1のパートタイマーを含め約40名)についても、常勤会議で話し合った内容を抜粋して報告し、話し合いをしたうえで、情報を共有化。基本的にはこの繰り返し。

ケアマネジャーついても、ケアマネジャーの会議で報告し、同様に話し合いを持っている。ヘルパーも常勤のほか登録型の(非常勤)職員もいるが同様に内容を共有している。

 

 評価結果については、年々劇的に向上しているわけではない。評価からわかったこと(問題点)を改善しようとしても、今年のように介護保険制度の改定があるとそれへの対応業務等が増え、思うようにいかないこともある。

 

 

■最大の効果は職員の意識変化

 評価結果も大切だが、それよりも職員の意識が確実に変わってきたことが重要だと認識している。

 業務の中で、さまざまな「記録を正確にとる」ことの意義も、評価を利用する中で、職員にその意識が芽生えた。

 

こういったことは、事業所内で上から言うだけではなかなか改善されない。外部から(評価を通して)言われた方が聞く耳を持つ。評価を実施している効果だと思う。

 (自己評価を通じて)何のためになぜその書類を用意する必要があるのかなどを意識するようになった。 

 

ただ、書くのではなく、要所要所を押さえて書かないと意味がないということも理解するようになった。結果、書類のフォーマットをより目的に叶うものに職員自ら変更するなど、新しい気付きを持つようになった。おかげで、この10年間で所内のさまざまな書式は使いやすくなってきた。

 

 実際、評価は現場を任せられるミドルマネジメント層の育成に役立つ。生え抜きの人材が育ってきて、現場を任せられる管理者として成長してきた。

評価のスコアを上げることはそれほどこだわっていないが、若い管理者には一つの励みとして「評価スコアを上げること」を伝えている。

の事業所に評価を薦めるとしたら、「現場の職員クラス、主任クラスの意識が変わる」ということがポイントだと思う

 

■振興会に今後期待すること

 情報公表制度もそうだが、書類、マニュアルが揃っているかなどのチェック項目も重要だが、サービスの中身の評価方法について検討してもらいたい。